近くにこんなお店があったらいいな、と思うようなお店が本当に近くにある幸運!信州なんて田舎だしダサいと思っていると大間違いです。東京みたいに明らかに洗練されたお店ではないけれど、美意識があり、哲学がある小さなお店が、このあたりにはたくさんあります。もちろん家の近くとは言っても、歩ける距離ではありません。車で移動できる範囲です。パーソナルスペースの広さと比例するような信州のこの規模感がいいと、個人的には思います。

 

古民家カフェの陶仙房。長野県茅野市の古い集落の中にあり、隠れ家みたいな雰囲気が落ち着きます。冬季は金土日しかやっていないので、混んでいると思われる土日を避けて金曜日によく行きます。

 

この薪ストーブの席がお気に入り。暖かくてついついゆっくりしてしまいます。以前この席でゆっくり編み物をしながらお茶している方を見かけました。そうしているうちに外ではチラチラ雪が降ってきたりして。いい時間です。この席以外でも、お庭に面している席もいいです。冬は午後から日が当たって暖かいし、小鳥が遊びに来るお庭を眺めながらランチができますので。

 

古い民家を自分たちで改装したという建物も、静かな味わいがあって好き。エントランスは広い土間になっていて、器とか木工とかの展示をしています。薄暗く静かな土間。静かに作品を見ていると、壁の反対側に掛けてある鳩時計のコチコチという音が聞こえるほどです。夏は涼しいんだろうなあ。

深い軒と縁側は、季節によって柿や大根を干していました。冬の低い日射は取り込み、夏の暑い日差しは遮る。昔からある日本の建築は、日本の風土に本当に適っています。夏に訪れたときは南と北の窓を開け放し、涼しい風がよく通っていました。おそらくすごく広い敷地ではないのですが、うまいこと植栽を工夫して、近隣の生活感が見えないように配置してあります。自分の家を建てるとき、昔からの日本の暮らしかたの工夫、そして現在の陶仙房の工夫や美意識を参考にさせていただきたいと思っています。

 

ついつい大好きな陶仙房の建物について長くなってしまいました。陶仙房に行くいちばんの目的は、もちろんおいしいランチなのです!

 

 

写真は地元の食材を使ったおむすびプレート。お味噌をのせた古代米のおむすび、地元野菜の焼きもの、信州らしい野沢菜などのお漬物、地元の千年豆腐を使ったお味噌汁など。お肉やお魚を使っていないけど、味わって食べるとお腹いっぱいになります。だけど罪悪感のある満腹感ではないのでうれしい。心身が正しく満たされる感じです。北杜にある自然屋というお店も好きでたまに行きますが、清らかな感じが似ているかもしれない。自然屋はお魚食べますけど。

 

食後の飲み物には、大抵ハーブティーを選びます。ここのハーブティーは、地元の蓼科ハーバルノートのもの。私も自宅で飲んでいますが、やっぱりおいしいからここでも頼んでしまいます。季節ごとのブレンドで淹れてくれます。他にも地元りんごの手づくりジュースとか、甘酒とかもあります。夫はいつもオーガニックコーヒー。

 

 

たまにもっとゆっくりしていきたいときは、デザートを頼みます。地元名産のほおずきタルト。このあたりの直売所やお土産屋さんにはほおずきジャム、ほおずきジュース、ほおずき果実そのものなど、よほどほおずきが採れるのでしょう。移住する前に原村在住の方にお話しを聞く機会があったのですが、ここ数年ほおずきがフィーバーしているもので、農家さんの中にはほおずき御殿なるものが出現したとかしないとか。いずれにしても地元にお金が落ちるのですから、私としては買わない理由はありません。

 

あ、それと忘れるところでした。陶仙房では作家さんの作品を販売しているのですが、私の好きな阿部春弥さんの器が常設で置いてあります。東京にいるころから好きで少しづつ集めていたのですが、信州上田の方なのだそう!なんだかうれしい、広い意味で地元感。