-この記事は「時には木陰に寝ころんで」より、引っ越ししてきました-
ピクニックに持っていくごちそうの定番、サンドイッチ。
その場でつくるサンドイッチなら、おいしくて準備も簡単。
その場でサンドイッチをつくる
ピクニックとサンドイッチ
ピクニックとサンドイッチが相思相愛の仲だということは、よく知られていることだ。18世紀のイギリスで賭け事に熱中していたある伯爵が、ゲームを中断することなく片手で食事を採れるように、というぐうたらな理由で召使いに準備させたのが現在のサンドイッチの発祥と言われている。テーブルマナーのないピクニックと相性がいいのは当然のことなのだ。ぐうたらフードであるサンドイッチは、芝生でごろごろ気ままに頬張るのにぴったり。
ピクニックにサンドイッチを持っていくことは、実用面でも理にかなっている。サンドイッチの代わりに、他の一般的なランチを持っていくことを想像してみよう。
たとえばパスタ。麺が伸びてしまう。ただでさえ食べにくいのに、テーブルもないピクニックでトマトソースのスパゲッティをきれいに食べることは至難の業。
サラダ。ぐうたらピクニックで、気を使って他人の分まで取り分けたくない。人数分の小皿とフォークを持っていくのも、帰ってから洗うのも大変だ。
せっかく焼いたのに冷めてしまうオーブン料理や、作りたてがおいしい揚げ物も、ピクニックランチとしてはいまいち。ところがサラダでもローストチキンでも、サンドイッチの具にすると途端にピクニックに持っていきたくなるから不思議だ。冷めてもおいしいし、取り分け不要。ごろごろ寝ころびながら、片手で食べられるごちそうになる。
ものぐさなのに、ごちそうサンドイッチ
サンドイッチとひとことで言っても、さまざまなスタイルがある。
たくさんの具がたっぷり詰め込まれていて、ほお張るときに顎が外れてしまいそうなアメリカンスタイルのサンドイッチ。
几帳面に三角に切りそろえられた、バターときゅうりだけのシンプルで上品な英国スタイルのサンドイッチ。
北欧では1枚のパンにサーモンを乗せたオープンサンドがある。
あるいはバゲット1本にハムとチーズだけの、パリ風サンドイッチ。
トルティーヤで具材を巻いたメキシカンラップサンドなど。
最近気が付いたのだけど、サンドイッチをピクニックに持っていく場合、わざわざ家で作って行かなくてもいいのではないだろうか。ハム、チキン、チーズ、レタス、きゅうり、そしてパンを持っていって、その場で作ってサンドイッチにする。思い思いに好きな具を選んでサンドするので、苦手な食材がある人は避けられるし、なにより自分で作ったサンドイッチはおいしい。
そしてこれは重要なポイントだけど、なんと準備時間ほぼゼロ。とりあえず冷蔵庫にあるものを持っていくだけでいいのだ。ものぐさ。でも持っていった食材で、びっくりするようなごちそうサンドイッチができ上がる可能性を秘めているのだ。
組み合わせの妙
先日食べた「その場でつくるサンドイッチ」をご紹介。冷蔵庫にあった食べかけのサラミ、別の料理で使ったマッシュルームの残りとレッドオニオン、朝食用に買ったカンパーニュ、ゴーダチーズ、アルファルファ。
アルファルファというのはマメ科の多年草で、スプラウトの状態で売っている。一度食べてみたかったので、レタスの代わりに買ってみた。マッシュルームは、新鮮なものは生食できる。鮮度の目安は、かさが開いていないもの。
お腹が空いていたので、まずは欲張りにも全ての食材をはさんだサンドイッチを作った。サラミとチーズの塩気が効いていて、そこにマッシュルームの香りとレッドオニオンのアクセント、そしてアルファルファのシャキシャキ感とどっしりしたカンパーニュ。マスタードとマヨネーズを用意していたのだけど、必要なかった。
次はシンプルに、サラミとチーズだけのパリ風サンドイッチ。ところがなんだかパサパサしていて物足りない。マッシュルームを足してみるも、ちょっとぼやけた味。レッドオニオンを加えると、ようやく味が締まってきた。でもレッドオニオンだけが目立ちすぎるので、中和のためにアルファルファも追加。結局、最初に作ったものと同じになってしまった。レッドオニオンはそのまま食べるとちょっと辛いし、アルファルファに至ってはとくに味がしないのだけど、サンドイッチに組み合わせるといい仕事をしてくれる。