-この記事は「時には木陰に寝ころんで」より、引っ越ししてきました-

 

ピクニックとバーベキュー。なんとなく似ているけれど、どんな違いがあるのだろう。調べてみると、興味深いことがわかった。

 

ピクニックとバーベキュー

食べものが違う、食べ方が違う

ウィキペディアによると、ピクニックで食べるものは主に、弁当・果物・サンドイッチなどの運搬性の良い食べ物、と定義されている。たしかにサンドイッチ、スコーンやマフィンなどの焼き菓子、ポテトチップス、ベリーやブドウなどつまんで食べられるフルーツは、とてもピクニックらしい食べものだ。

さらに言えばピクニックでは、すでに調理されたものを食べる、ということに気が付く。サンドイッチの具をその場で挟んだり、フルーツを分けるのにナイフで切ったりといった簡単な作業はあるかもしれない。しかし火を使って肉を焼いたり、シチュー鍋をコトコト火にかけたりといった調理は、ピクニックらしくない。

 

一方のバーベキューはウィキペディアによると、肉や野菜、魚介類などをじっくり焼く料理、もしくは煙で燻すその調理法や行為、と載っている。私たちが親しんでいるバーベキューを思い返してみても、食べることだけでなく、火をおこして肉や野菜を焼く作業自体を楽しんでいる。ちょっとくらい焦げてしまってもご愛敬。つまり食材を焼いたり燻したりする行為そのものがバーベキューであり、その場で次々と焼き上げられていく食材を食べるのが醍醐味ともいえるのだ。

 

それぞれの発祥

このようなピクニックとバーベキューの違いは、それぞれの発祥に由来しているようだ。

ピクニックがどこか優雅なのは、ヨーロッパ貴族のハンティングを起源としているから。狩りに出かけた先の森や野原で食べる彼らの食事は、とても豪華なものだったらしい。持ち込んだテーブルにきちんとクロスを掛け、連れてきた料理人がごちそうを作り、召使いに給仕させたそうだ。ピクニックという文化は、狩りに興じる貴族たちが楽しむレジャーであり、社交の場から生まれたのだ。

一方、バーベキューの由来は、もっと庶民的。アメリカ南部では、豚を丸焼きにすると家族だけでは食べきれないので、近所の人と分け合って食べる習慣があるそうだ。そのとき当然ながら煙やにおいが出るので、調理や食事は野外で行われる。これがバーベキューの発祥と言われている。料理人に作らせて自分は食べるだけという貴族のピクニックと違い、必然の中で行われる野外調理がバーベキューだったのだ。

 

似ているけれど、実は正反対

こうしてみると、ピクニックとバーベキューは好対照といえる関係にありそう。外で食事をするという点では同じだけど、かたや労働から解放され、のんびり寝そべりながら飲み食いするピクニックに対し、時には煙や熱さと闘いながら、野外での調理も楽しむバーベキュー。つまり概念の上では「ピクニックでバーベキューをする」ということもなければ、「バーベキューでピクニックする」ということもあり得ない。

それでも同時に両方楽しみたい、という人にひとつだけ解決策がある。そのレジャーに参加する人を2つのグループに分け、一方はバーベキューグループとして調理と食事を楽しむ。もう一方はピクニックグループとして、バーベキューグループの成果物を食べながらのんびり寝ころがってくつろぐ。ちなみに私はピクニックグループに立候補しようと思う。