カナダ・プリンスエドワード島の美しい自然が舞台の「赤毛のアン」。

りんごの花が咲き誇る歓喜の白路。袖の膨らんだドレス。バラとシダで飾ったお茶のテーブル。それはいったいどんなものだろうと空想したものだ。

 

赤毛のアンのピクニック

楽しみに待つということ

孤児院育ちのアンは、それまでピクニックをしたことがなかった。だからプリンスエドワード島に来て初めてピクニックに行くことになる。バスケットに詰めていく食べものの心配をしたり、着ていく洋服について悩んだり、現代の私たちと同じような心配をしている。ピクニックまでの一週間というもの、ずっとピクニックを夢見て過ごしたのだった。

実際には、雨が降ったり、風邪をひいてしまったり、予期せずピクニックが中止になってしまうことがあるかもしれない。もし当日そのようなアクシデントが起こってピクニックに行けなくなったら、生涯の悲しみになる、と大げさなアンは言っている。アンと同じようにピクニックを楽しみにしている私たちにとっても、次のアンの言葉が役に立つと思う。

なにかを楽しみにして待つということが、そのうれしいことの半分にあたるのよ

赤毛のアン ルーシー・モード・モンゴメリ著 村岡花子訳

ほんとうにならないかもしれないけれど、でも、それを待つときの楽しさだけは、まちがいなく自分のもの

赤毛のアン ルーシー・モード・モンゴメリ著 村岡花子訳

アンのこの言葉は、ピクニックだけでなく人生を楽しむための秘訣のような気がする。

 

初めてのアイスクリーム

アンがこれほどまでにピクニックを楽しみにしている理由のひとつは、アイスクリーム。アンはこれまでの人生でアイスクリームを食べたことがない。アイスクリームについて親友のダイアナに聞いてみるもよくわからず、空想が得意のアンにとってもなにやら想像以上のものらしいのだ。

アンの時代は薪ストーブで料理をつくる時代。もちろん冷凍庫などなく、アイスクリームは特別な食べものだった。いわく、

アイスクリームって、言語を絶したものだわ、マリラ。まったく崇高なものね

赤毛のアン ルーシー・モード・モンゴメリ著 村岡花子訳

 

アンのピクニックメニュー

残念なことにアンがピクニックに持って行った食べものについて、物語には“焼いたものがどっさり”という以外に詳しい説明はない。しかし幸運なことには、なんと「赤毛のアン」の作者であるL.M.モンゴメリが実際に使っていたレシピ集が残っている。だからその当時ピクニックに持って行った食べものについて想像することはできる。それはきっとこんなメニューかもしれない。

チキンサンドウィッチ

モンゴメリはでき上がったサンドイッチを対角線でカットして、三角形にしていたそう。

 

モック・チェリーパイ

日本語にすると、「まがいチェリーパイ」。チェリーが入っていないのに、チェリーパイの味がするのだそう。入っているのはレーズンとクランベリー。チェリーが手に入らないときでも、マリラがアンのために工夫して作ってくれそうだ。

 

レモン・クランブルズ

モンゴメリはレモン味のケーキが好きだったようだ。

 

ブラウンシュガー・アイスクリーム

アンが楽しみにしていたアイスクリーム。レシピによると、アイスクリームフリーザーをひたすら手で回して作るらしい。乳製品と卵でつくる本物のアイスクリームは、絶対おいしい。

 

ティーパンチ

夏のピクニックには、さわやかなティーパンチがぴったり。

 

 

メニューの参考:赤毛のアン レシピ・ノート

        他にもいろいろなレシピが載っていておすすめ。