夜、日が落ちてからのピクニックは、暑い季節ならではのお楽しみ。涼しい夜風に吹かれながら、軽いおつまみとワインでのんびり。そんな時のスペシャルな楽しみ方が、ムービーナイトだ。夜のピクニックで見たい、おしゃれな映画をご紹介。

 

ムービーナイト・ピクニック

夜のとばりの物語 -醒めない夢-

初めて見る人は、映像のあまりの美しさにびっくりしてしまうかも。鮮やかな色彩に浮かび上がる、繊細なシルエットの切り絵によるアニメーション。

5つの物語は、どれも「夢」がテーマ。ひととき日常を忘れて、大人にこそ見てほしいおとぎ話。夏の夜の幻想的なムービー・ナイトに。同じ世界観の「プリンス&プリンセス」もおすすめ。

 

ニュー・シネマ・パラダイス

シチリア島の日射しとノスタルジックな風景が、夏のムービーナイトにぴったり。誰もが心のなかに持っている、懐かしさと優しさで胸がいっぱいに。映像、ストーリーはもちろん、音楽も美しい。

この映画、作品中に2回、ムービーナイトが出てくる。映写機を建物に当てた即席ムービーナイト、川辺の大スクリーンで見るムービーナイト。どちらもいい雰囲気なのだ。

 

ミッドナイト・イン・パリ

ほどよく現実的で、ほどよくファンタジックな物語。パリに恋した主人公が、現代のパリから1920年代、そして1890年代の華やかなパリにタイムスリップ。それぞれの時代の美しいパリを堪能する。パリが好きなら必見。

私のお気に入りは、映画開始の数分間。晴れた朝や雨の午後、街角のカフェや通りを歩く人びとなど、何気ない日常のパリの風景を、音楽にのせてひたすら魅せてくれる。あまりにも素敵なので、私はいつもその数分を何度か繰り返してから、ストーリーを見始める。

 

イリュージョニスト

舞台はロック全盛の1950年代パリから、追い出されるようにたどり着いたスコットランドの片田舎。霧と崖の荒々しい風景、安ホテル、時代遅れの手品師。そこに一輪の花のように純粋な少女が現れて、戸惑いつつも手品師の人生はちょっとだけ鮮やかになる。

繊細でやさしい映像と、どこか物悲しくも美しいストーリーの、静かな物語。しっとりとした大人向けのアニメーション映画。

 

オズの魔法使い

言わずと知れた不朽の名作。セピア色のカンザスから、色彩あふれるオズへの転換は今見ても新鮮。

小さいころ憧れた、ルビーの靴や黄色いレンガの道、花に住むマンチキン、水晶、そして恐ろしい砂時計など、アイテムがいちいち際立っている。そして名曲、Over the Rainbow。ピクニック好きとしては、ドロシーが持っているバスケットにも注目。

 

潜入!スパイカメラ ペンギン極限の親子愛

ペンギンロボットに搭載したカメラで追う、ペンギンの子育てドキュメンタリー。美しいけど過酷な自然ものかと思いきや‥。ペンギンって、一生懸命なんだけどなんだか間が抜けている。制作側もそれを狙ってか、ペンギンロボットを襲うアクシデントやナレーションについクスリ。岩カメラや卵カメラなどユーモラスな視点を通して、人間みたいに個性的なペンギンの様子をレポート。

あかちゃんペンギンは超絶かわいく、笑いもあり、感動一辺倒ではないのがきままなピクニック向き。こういうドキュメンタリー、待っていました!

 

チキンとプラム

現在と過去の美しい記憶、そして主人公の見る夢の世界を行き来する、ファンタジックな物語。ただし、人生の酸いも甘いも経験した、おとな向けのラブストーリーだ。

とにかく映像が美しい。1枚1枚ページをめくるように、すべてのシーンがとても完成された構図になっている。死を待つのみの現在の陰鬱な部屋と、柔らかい陽射しと色彩に溢れた過去のコントラスト。音楽と呼応するようにクライマックスを迎える終盤は、胸の鼓動もシンクロする。そして音楽が止み、はじめて、ことの始まりを理解するのだ。

 

ビッグ・フィッシュ

父親にまつわる奇想天外なおとぎ話を軸に、親子がわだかまりを解いていく物語。見世物小屋や理想郷のような町など、ちょっとうさんくさくて美しい、現実離れした世界観はまさにティム・バートン作品といった感じ。

おとぎ話パートの映像が特に凝っている。たとえば私が好きなのは、主人公が女性にひとめぼれして時が止まり、飛び散ったポップコーンをかき分けて近づいていくシーン。何度見ても美しく衝撃的。

 

僕を探しに

生まれてから一度もしゃべったことのない主人公ポール、記憶を釣るハーブティーを調合するマダム・プルースト、過保護な叔母姉妹と盲目の老人など、ひとくせある登場人物ばかり。忘れていた記憶が徐々によみがえり、驚愕の事実が発覚!フランス映画らしい、ちょっと毒のあるファンタジー。

ピクニック好きの視点から見ると、シューケット、洋酒漬けチェリー、バゲットサンドなど、フランスの食文化が垣間見える食べものに興味津々だ。