軽井沢の自然や落ち着いた雰囲気に魅せられて、住んでみたい、別荘を建ててみたいと妄想しています。万が一ラッキーなことに軽井沢に住める、もしくは別荘を持つ余裕があるという場合でも、実は軽井沢では好き勝手に建物を建ててはいけないことになっているらしい。今のところ軽井沢に住む予定も、ましてや別荘を建てる予定もないけれど、将来必要にならないとも限らないので調べてみました。

 

軽井沢ルール

国際親善文化観光都市

軽井沢は昭和26年(1951年)から、国際親善文化観光都市として発展してきました。この国際親善文化観光都市、日本で唯一、軽井沢町だけが指定されているそうです。国際親善文化観光都市建設法のなかで軽井沢は、「世界において稀に見る高原美を有し、優れた保健地であり、国際親善に貢献した歴史的実績を有する」とある。

 

別荘建設ラッシュから自然を守るため

高度成長期以降は他のリゾート地の例に漏れず、軽井沢でも別荘地の開発に拍車がかかりました。乱開発から軽井沢の自然を守るためにつくられたのが、昭和47年(1972年)自然保護対策要綱。この要綱の一部、別荘地域の建築について定めているのが、いわゆる「軽井沢ルール」です。

 

軽井沢ルールの詳細

軽井沢の自然を守るために制定された軽井沢ルール。一部を見てみよう。

 

”別荘の分譲は1区画1000平米以上とすること”

1000平米は約300坪。つまり1区画は最小300坪必要ということ。東京に住む人からすればとてつもない広さです。都心では20坪、30坪の敷地に家を建てるのもザラ。60坪あればかなり広い方だと思う。軽井沢の別荘地域では、それだけゆったりとした町並みの維持が求められている。

 

”容積率、建ぺい率は原則として20パーセント以下であること”

300坪の広い敷地に、めいっぱい建物を建ててはいけないということ。仮に300坪の土地だとしたら、20%ということは建築面積、延べ床面積ともに60坪が上限になるので、総2階なら1階30坪+2階30坪、平屋なら1階60坪までOKということになります。

 

”建物の高さは、原則として10メートル以下であること”

”建築物の地階以外の階数は、原則として2階以下であること”

容積率、建ぺい率を守っていても、建物の高さ制限も考慮しなくてはいけません。たしかに軽井沢に背の高いビルのような建物は似合わない。また塔のようなものもNGということ。

 

”敷地内の樹木をできるだけ残存させ、建築物の周囲に植栽を施し自然環境の保全に支障のないものであること”

これは軽井沢ルールを最もよく表していると感じます。要は軽井沢にもともとあった自然環境を残しましょうということ。

 

また隣地と3m以上、道路からは5m以上離して建築することで家が密集しないようにし、境界は低木で垣根のようにすること、なども示されています。奇抜な外観や周辺の景観にそぐわない建物もアウト。このようなルールによって軽井沢らしい別荘地の雰囲気が保たれているのですね。

 

軽井沢というブランド

これらは軽井沢ルールの一部だけど、このような世界一厳しいとさえ言われている細かい建築基準によって、避暑地軽井沢の独特の雰囲気とブランドが守られているのです。万が一軽井沢の住人になるようなことがあれば、軽井沢を守るルールをよくよく理解して建築にあたりたいと思います。