東京交通会館で開かれた信州八ヶ岳・原村移住セミナーの感想と、移住先としての原村の可能性についてまとめます。原村以外への移住を考えている方は、認定NPO法人ふるさと回帰支援センターが参考になるかと。

 

信州八ヶ岳・原村セミナー

ふるさと回帰支援センター

夫が都合により来れなかったため、心細くも一人参加となった信州八ヶ岳・原村移住セミナー。年甲斐もなくやや緊張して、東京交通会館8階へと向かいました。エレベーターを降りてふるさと回帰支援センターの入口へ行くと、家族連れやご夫婦で意外な賑わいが。受付らしい方が待機されていたので、セミナー参加の旨を伝えました。こんなに広いとは想像していなかったのだけど、セミナースペースは奥の方にあり、入口から少し歩きます。そのあいだに各都道府県の相談ブースが並んでいるのでキョロキョロと見回し、お目当ての原村以外にもいろいろと心を惹かれます。

失礼ながら原村というマイナーな場所のセミナーなので、参加者が自分ひとりだったらどうしよう、マンツーマンはちょっときついな、と思っていたのだけど、意外なことに(失礼ですみません)30名以上の方が参加されていました。参加者はほとんどがご家族かご夫婦のようで、小さい子どもも何人か。自然の多い環境で子育てをしたい、あるいは早期退職や定年後に第二の人生を楽しみたいといった希望にマッチしているのだと思います。

 

長野県原村の魅力

セミナーは2部構成になっていて、前半は原村のPRビデオと原村役場総務課の方のお話でした。恥ずかしながら原村についての予備知識はほとんどなく参加したのだけど、どうやら原村は「星の降る里」らしい。そして「日本で最も美しい村」連合のメンバーらしい。ふむ、なにやらよくはわからないけれど、なんとなく魅力的だ。そして子育て支援や福祉に関しても頑張っているとのこと。それは原村単独のセミナーを開いてしまうところからも充分伝わります。

 

個人的に原村が魅力的だと思った点は以下。

夏涼しい

標高900~1,300mで湿度が低いから、カラッと爽やか。

 

東京から近い

高井戸ICから諏訪南ICまで中央道で約2時間、インター下りて約10分。

 

自然が近い

土地のゾーニングによって自然や景観が守られている。八ヶ岳自然文化園やまるやち湖といった自然環境がすぐ近くで楽しめる。

 

野菜が新鮮でおいしい

農家さんの直売はもちろん、たてしな自由農園がある。

 

乳製品もおいしい

八ヶ岳中央農業実践大学校の直売所で搾りたての牛乳や、放し飼いの鶏の有精卵が買える。

 

星の降る里

信じられないほどの満点の星空が見られるのだとか!見てみたい!

 

加えて今のところ私たちにはあまり関係ないけれど、一般的にメリットだと思われるのは、

子育て環境・支援が充実している

村内にあるのは保育所、幼稚園、小学校、中学校が各1つずつ。みんな顔見知りのまま中学校まで進めるので安心。子育て支援として保育料が第2子半額、第3子以降無料。現在待機児童ゼロ!小学生には学童クラブあり。

 

医療関係の支援が充実している

満66歳以上や満18歳までの子どもなど、申請すれば自己負担分の医療費が支給される。妊婦健診や人間ドックに補助金が支給されるなど。

 

総合病院が近くにある

原村内ではないけれど、諏訪中央病院、富士見高原病院は車で10分ほど。

 

「田舎暮らし案内人」による移住サポート

原村を知り尽くしている地元の方や、実際に原村に移住してきた田舎暮らしの先輩たちによるボランティアグループで、移住の相談に乗ってくれたりサポートしてくれたりするらしい。地域のコミュニティに入っていくとっかかりとしても心強いです。

 

逆にデメリットというか心配な点もいくつか。

・冬寒いのはいいとしても(ちなみに最低気温はマイナス15℃前後!)、雪道の運転が心配。積雪は例年10~20cmで幹線道路は村が除雪してくれるけど、それ以外は各自で除雪する必要があります。また、路面は凍結するそうです。

・中学校までみんな一緒なのは安心の反面、逆に言えば離れられないということ。新しい環境でやっていくことを学んだり、新しい価値観に出会うチャンスが減ってしまうのでは、とも思う。

・光回線は一部の地域でつながらない場合がある。自宅オフィスを目論む我が家には最重要ポイント。

 

またメリットともデメリットとも言えないのだけど、村内に区や自治会があり、年会費がかかったり清掃や当番があったりするようです。地域のきずなの強さに関しては、移住者の意見が分かれるところでもありそう。田舎の温かいお付き合いを求めている移住者もいれば、そういったことにあまり煩わされたくない移住者もいます。原村に関して言えば、結びつきの程度は区や自治会によって差がありそうだと思いました。移住者は自分のスタンスに合った地域を選ぶことで、後々のトラブルを減らすことはできるかもしれない。

原村単独のセミナーを開くだけあって、全体として移住者にやさしい印象を受けました。それは役場が主導している補助金制度や支援策しかり、また田舎暮らし案内人などのソフト面でのサポートもしかり。小さな村ならではの、豪華ではないけど温かな歓迎ムードが伝わってきました。

 

長野県原村移住の本当のところ

セミナー後半は、グループに分かれての質疑応答タイム。各グループの原村メンバーが質問に答えるというもので、発表形式のPRに比べてメンバーそれぞれの素直な意見を聞くことができました。

設定されたグループは、役場の方による移住支援や就業関係グループ、田舎暮らし案内人による就農関係グループとペンション経営関係グループ、地元建築会社の方による住宅関係&暮らし・子育て関係グループの4つ。私は一人参加で心細かったのもあり、原村メンバーが女性という理由で、子どもはいないものの住宅関係&暮らし・子育てグループに参加しました。普段の暮らしについての興味深いトピックをいろいろと聞くことができました。

例えば参加者みなさんが気にしていたのは冬の寒さについて。原村メンバー曰く、とにかく寒いとのこと‥!でも豪雪地帯ではないから屋根の雪下ろしをする必要はなし。ただし道が凍るからアイスバーンに注意。意外だったのは日差しが暖かいので、最近の住宅であれば、晴れている昼間は暖房しなくても大丈夫だそう。

また夏でも涼しいのは本当のことのようで、原村メンバーの方のご自宅にはエアコンが付いていないとか!たまに2階が暑くて寝苦しいこともあるそうだけど、8月の一瞬だけとのこと。

個人的に参考になったのは、原村にはクマ、イノシシ、サルはいないということ。お散歩中に遭遇したら大変なので、犬を飼っている方には朗報ではないでしょうか。軽井沢にはイノシシやサルが出ると聞いて心配していたけど。それと文字で書くのも嫌なのでヒントだけで書くけれど、ほとんどの女性が怖がる黒いアイツ(頭文字G)も原村にはいないのです!

質疑応答タイムは約60分たっぷり取られていて、原村でのリアルな生活を少し思い描くことができました。

 

そのあと事前に予約した人たちは個別相談タイムになるようだったけど、私はここまで。基本的な情報提供から素朴な疑問まで、充実したセミナーでした。原村メンバーのひとりの方が、原村の魅力はなんといっても自然が身近にあることと、村から見える八ヶ岳の美しさだと言っていました。そんな生活に憧れつつ、いただいた資料を読み漁って妄想に耽っております。

 

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