雲場池から旧軽銀座へ向かってぶらぶらとお散歩。鹿島の森の別荘地を歩いていると、木々に囲まれたデッキに寝そべっている別荘族がいました。しっとりと苔むした森の中で、静かに瞑想でもしているのでしょうか。とても良いインスピレーションが湧いてきそうです。

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この状況の対局にあると言っていいのが満員の通勤電車だと思う。人々のため息やうめき声、ヘッドフォンから漏れる音。すべてのものを遠慮なく照らす蛍光灯と無機質なプラスチックや金属。求めてもいないのに伝わる隣の人の体温と湿度。

私は満員電車に乗るときには自我を殺して、自分がただの物体として存在するように努めています。他の人もそうしているのだろうか。そうしていると昔写真でみた、戦地に運ばれる兵士をぎゅうぎゅうに詰め込む列車の光景とイメージがそっくり重なってしまう。そこには人間の尊厳などない。攻撃的な思いつきや懐疑的な考え、他者に対しての思いやりに欠ける感情が生まれるのも無理はない。

世の中ではたびたび痛ましい事件が起こります。満員電車のような状況が、他者の痛みを理解しない、共感できない人々を作り出し、事件を起こさせているのではないかと思えてならない。

そんな世界にどっぷりと浸かってしまったな、と思ったときに別荘族の人々は、軽井沢に逃げ込むのだろう。昔の文豪たちが軽井沢に滞在して執筆していたように、自分の内面を見つめなおして更新するのに、とてもいい環境なのだと思う。旅行者の私たちにも開放されている軽井沢の自然と環境の邪魔をしないよう、静かにお散歩を楽しみました。