苔の森で有名な八ヶ岳。その中でも気軽に行ける白駒の池に行ってみました。一面に苔が広がる神秘的な夏と、まだ雪が残る春。2つの季節で、まったく違う表情を見ることができました。
苔と雪の白駒の池
苔の森
吉永小百合さんが森の中でルーペをのぞき込む、大人の休日倶楽部のCM。JRの駅でポスターを見かけた人も多いのではないでしょうか。一面の苔が広がる原生林と、標高2,115mにある白駒の池一帯は、まるで太古の森のようです。
駐車場から白駒の池までは、歩いて15分くらい。八ヶ岳の苔を楽しみたいけれど、本格的な登山はちょっと、という人でも気軽に行けるのが魅力です。実際そういう人が多いようで、バスツアーで来るラフな格好の団体や、旅行の途中で立ち寄ったカップルなど、軽装が目立ちます。一方でその気軽さのおかげか、シーズン中は駐車場がとても混雑するようです。私たちもご多分にもれず、佐久からのドライブの途中で寄ってみようという気軽な気持ちだったので、もし混んでいるようならあきらめてそのまま茅野方面に抜けようと思っていました。予想通り、道路には「白駒の池付近渋滞」の看板。しかし幸運にも駐車場まで渋滞はなく、賑わっているもののすんなり車を停めることができました。
白駒の池までは駐車場から15分だけど、時間がある人は池を1周してみることをおすすめします。駐車場、白駒の池と賑わっている一方で、1周する人はあまりなく、静かな散策を楽しむことができました。
大人の休日倶楽部も、おそらく池の周りの散策路で撮影されたのではないでしょうか。ポスターのままの苔の森が広がっていました。もっと奥の山まで行ってきたのであろう登山の装備をした人とすれ違うことはあるけれど、基本的には木の散策路があるので、スニーカーでも大丈夫でした。
写真を撮ったり、苔を見たり、深呼吸をしたり、自分のペースでのんびり。1時間くらいの森の散策。ちいさなキノコを発見したときは嬉しかったな。
帰りに駐車場まで下りていく途中で、山小屋に食料を届ける人とすれ違いました。こんなふうに、荷物を背負って届けているのです。どこまで運ぶのかわからないけど、山の食料は貴重なのだ。
4月の白駒の池は雪
白駒池に行くための国道299号線は、冬のあいだ通行止めになります。2018年の通行止め解除は4月19日で、私たちは滞在先のペンションで偶然にもそのニュースを教えていただき、翌日の20日に早速行くことにしました。
通行止めが解除されたばかりだという道は、脇に雪が残っているものの道路自体には雪がなく、なんの心配もなく車を走らせ、駐車場に停めることができました。そして駐車場の向かいにある白駒の池への入り口に立ってみると、結構雪が残っている‥。根雪の冷気が漂ってきました。
白駒の池から下りてくる人もいるので、行けないことはないのだろうと足元を注意深く見ながら進んでいくと、すれ違う人に話しかけられました。曰く、白駒の池は真っ白らしい。
真っ白?
つまり池は凍り、雪が積もっているらしい。思ったより状況は深刻なようだ。とはいえ白駒の池までの道は、なんとか歩ける程度には雪が解けていました。東京で雪が積もった日の、夕方か翌日の公園みたいなかんじ。すべらないようにということと、溶けてぬかるみになったところに入らないように気を付けて歩きました。
白駒の池まで行ってみると、おお確かにこれは聞いたとおり。真っ白!
これで4月下旬です。苔の森、という評判とは全く違った風景だけれど、これはこれで清々しく、いいものが見れたと思う。またこの抜けるような青い空がいい。
せっかく来たのだから、白駒の池を1周する散策路を歩くことに。ここまでの道の様子からして、気を付けて歩けば問題ないと思ったのだ。しかしそれは甘い考えだった。駐車場から白駒の池に至る道は人通りがあり、雪かきもされていたのだけど、散策路は一転、雪がいまだまったく解けていない。雪が深すぎて正しいコースがわかりにくくなっているので、先人のまばらな足跡を頼りに進むことになる。コースを誤って踏み抜くと、膝までずっぽり雪に埋もれる。本来なら1時間くらいの散策路のはずだけど、雪に足を取られて思いのほか長いお散歩に。
それにしてもこんなに深い雪の上を歩くのは、生まれて初めての体験でした。それも4月の下旬、東京では桜もとっくに終わっているというのに。今度この時期に来るときは、スノーシューでも持ってきたほうがいいかもしれない。
慣れない雪に、思いがけずいい運動になったと充実した気持ちで散策を終えて駐車場に戻る途中、これから白駒の池に行く人とすれ違いました。意外と残っている雪に不安になったのか、この先進めますか?と尋ねられ、白駒の池までは行けます、真っ白ですと、私たちが行きに教えてもらったのと同じようにお伝えしました。そしてその先の散策路は結構積もっていますのでお気をつけて、と。