松本へは我が家から車で1時間くらいの距離ですが、できれば泊りがけで行くようにしています。田舎暮らしの唯一の難点とも言えるのが、フラッと徒歩で飲みに行けないということ。その点松本は都会ですから、おいしいお店も、2軒目にいい気軽なお店も、歩ける距離にたくさんあります。そして夜を楽しんだ翌朝、朝ごはんも楽しみのひとつなのです。

 

山山食堂

松本で朝ごはんを食べたいと思って調べてみると、まずは有名な喫茶店のモーニングが候補に挙がります。厚切りトーストとコーヒーの朝ごはん、いいですね。それとクラシックホテルの朝食や、松本はパン屋さんが多いので、買ってきてホテルの部屋で食べるということもできます。いずれにしてもパン。私はパンは大好きですが、前日の夜にお酒を飲んだ翌朝などは、体が欲しているのは実はごはんとお味噌汁なのではないかと感じています。だけど旅先で普通のごはんとお味噌汁の朝食を探すと、意外とないのですよね。

松本の方と話していて、なんとなくどこかおいしい朝食ないかしら、と聞いてみたところ、教えていただいたのが山山食堂。トーストもおいしいに違いありませんが、なんとごはんとお味噌汁があるということだったので今回行ってみました。

 

この普通のごはんとお味噌汁が堪らない。たぶん自家製の酸っぱめの浅漬けと味のりが付いていました。ベーコンエッグは単品で追加。じわじわと丁寧に焼いてくださいました。そうそう、飲んだ翌朝食べたいのはこれですよ。

冷たいお水が体にしみると思ったら、マスターがすぐ近くの湧き水を汲みに行っていました。女鳥羽の泉という湧き水で、昨日同じ名前の日本酒を飲みましたよ。松本はそこここに湧き水が湧いているのは知っていましたが、地元の方は今でもこのお水を生活に使っているのですね。蓼科や八ヶ岳でも湧き水はあると思うけど、こういう文化もあるのかな。おいしい湧き水知っている方がいたら教えてください!

 

さて、山山食堂の普通のごはんとお味噌汁がおいしかったのは間違いないのですが、それ以上に気に入ってしまったのが、本のセレクトです。山山食堂が入っている建物には燕(つばくろ)という古道具屋さんと栞日という本屋さんが同居しているそうで、置いてある本がどれも興味を惹かれます。私の好きな料理家の辰巳芳子さんの本や、宮崎駿監督がスケッチした東京郊外の住宅のレポート、夫は木彫りの熊の図鑑に夢中でした。

朝ごはんを待っているあいだだけちょっと読むつもりが、ついつい食後も読み続け、追加でスムージーを頼んだりして思いのほか長居になってしまいました。カフェタイムのケーキもおいしいらしいので、またゆっくり来てみたいです。それにしても松本はいいお店がたくさんあって、いよいよ1泊では足りなくなりそうで恐ろしい。